トルコの医師フルス・ベーチェットにより最初に報告された、原因不明の全身性炎症性疾患です。
原因は不明ながらも世界的に見るとシルクロード沿いに患者が多いことから、別名:シルクロード病と呼ばれ、なんらかの環境因子の存在が疑われます。
再発と寛解を繰り返す慢性疾患で自己免疫疾患の一つとされています。
日本では特定疾患に指定されています。
主症状
主症状は下記の4つです
- 口腔粘膜のアフタ性潰瘍
- 陰部潰瘍
- 皮膚症状
- 眼症状
口腔粘膜のアフタ性潰瘍(口内炎)
ベーチェット病患者のほぼ100%に見られる症状で、痛みを伴った口内炎
見た目は普通の口内炎と変わらないため、この症状でベーチェット病との診断は出来ない。
が、ベーチェット病患者の口内炎は慢性的であることが多い。
外陰部潰瘍
口内炎の陰部版
口内炎ほどの頻度ではないが繰り返し再発する。
ベーチェット病の特徴的な症状で診断の決め手になることも少なくない。
皮膚症状
膝から下を中心に赤く腫れた湿疹が出来る。
皮下にシコリができ痛みを伴う事もある。
また、皮膚の被刺激性亢進を反映する所見として針反応が認められ、カミソリ負けなどが生じやすい。
眼症状
ぶどう膜炎が主体で、両目が侵される事が多い。
前眼部、後眼部共に炎症が発作的に起こる。
発作は2週間ほどで治るが、再発を繰り返すことで徐々に視力が奪われて失明に至る事もある。
この病気の最も重篤な症状。
過去、成人の失明原因の上位にあったベーチェット病ですが、現在は治療薬などの進歩により失明に至るケースは減少した。
副症状
- 関節炎
- 副睾丸炎
- 消化器病変
- 神経病変
- 血管病変
関節炎
副症状の中では高い頻度で起こる変形や硬直を伴わない関節炎。
膝、足首、手首、肘、肩などの大関節に起こり、指などの小関節には起こらない点で関節リウマチとは異なる。
副睾丸炎
男性の1割に起こる睾丸部の圧痛と腫れが起こる。
ベーチェット以外ではあまり見かけないため診断の一助になる。
消化器病変
食道から直腸(肛門の直前)に潰瘍が出来る症状を腸管ベーチェットと呼びます。
潰瘍が出来ることで腹痛、下痢、下血が起こる。
潰瘍と正常な部分の境目が明確であることが特徴。
神経病変
神経症状が起こるものを神経ベーチェットと呼びます。
ベーチェット発病から5.6年でこの症状が出る場合があり、男性に多いです。
髄膜炎、脳幹脳炎など急性のタイプと、麻痺、小脳症状、認知症などの精神症状をきたし慢性的に進行するタイプとに大別できます。
血管病変
大きな血管に病変が起こるものを血管ベーチェットと呼びます。
男性に多く見られ、動脈、静脈共に起こります。
血栓が出来て、腫れたり歩きにくくなったりします。
ベーチェット病の診断
確定的な診断方法はなく各症状の組み合わせでベーチェット病と診断する。
完全型ベーチェット
主症状の4つが確認できた場合、完全型ベーチェットとなります。
不完全型ベーチェット
- 主症状3つ
- 主症状2つ + 副症状2つ
- 眼症状 + 主症状1つ
- 眼症状 + 副症状2つ
特殊型ベーチェット
- 腸管ベーチェット
- 神経ベーチェット
- 血管ベーチェット
診断の補助的要素
HLA-B51の陽性反応
白血球の血液型と言われるHLA。
これのB51型の陽性反応は日本人全体では15%だが、ベーチェット患者に限定すると約60%と非常に高く、陽性反応が診断の参考になる。
ただ、陽性の人が必ずベーチェット病になるわけでもなく、陰性の人でもベーチェット病になることから、決定的な診断基準にはならない。
針反応
無菌の針を皮膚に刺すと、発疹が生じて膿が溜まってくる。
これはベーチェット病患者に見られる特徴的な症状であるため診断の材料として用いられる。
陰部潰瘍
これもベーチェット病の特徴的な症状で、診断の決め手になることもある。
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