病気の知識

IgA腎症の治療法

目次

10年腎生存率

成人期発症IgA腎症の10年腎生存率は80-85%と考えられ、小児期発症例の10年腎生存率は90%以上と考えられている。

治療指針の変化に伴う予後の改善

1990年代を境に、それ以前に診断された症例よりも予後良好を示すエビデンスがある。
IgA腎症に対する治療指針の変化が奏効してる可能性がある。

初診時、診断時に予後と関連する要因

IgA腎症は初診時、診断時の尿蛋白の程度、血圧値、腎機能障害の程度が組織学的障害度とともに腎生存率と関連することが明らかになってきている。

予後と関連する経過中の判定指針

腎生検を複数回施行することは難しいため、経過中にIgA腎症の進行を予測する因子として利用されてるのは、尿蛋白、血圧、血尿である。

経過中の尿蛋白は1g/日未満、血圧は130/80mmHg未満であると腎予後は良いとされる。

尿所見の寛解とその意義

治療後や自然経過における血尿や尿蛋白の改善や消失で定義される尿所見の寛解腎予後の改善と関連することが報告されている。

しかし、尿所見の寛解には様々な定義があり統一されていない。

現在、その統一化の検討が開始されている。

血尿の寛解

尿潜血反応 (-) 〜(+-) もしくは尿沈渣赤血球5/HPF未満

尿蛋白の寛解

尿蛋白反応 (-) 〜(+-) もしくは0.3g/日未満

以上の基準を満たした初日から6ヶ月以上に渡り2回以上の検査で基準を満たし続けた場合をそれぞれ血尿の寛解、尿蛋白の寛解とする。

血尿、尿蛋白共に寛解した場合を臨床的寛解とし、どちらか一方の場合を部分的寛解とする。

IgA腎症の治療法

日本での主な治療薬(法)は、

  • RA系阻害薬
  • 副腎皮質ステロイド薬
  • 免疫抑制剤
  • 扁桃線摘出術(ステロイドパルス併用法)
  • 抗血小板薬
  • n-3系脂肪酸

である。

治療法は、重症度により推奨グレードが変わってくる。

推奨グレード

A :行うこと強く勧める
B :行うことを勧める
C1 :行ってもよいが十分なエビデンスがない
C2 :根拠がなく勧められない
D :行わないよう勧める

RA系阻害薬

推奨グレードA尿蛋白>1.0g/日かつCKDステージG1-3bのIgA腎症における腎機能障害を抑制するため、その使用を推奨する。

推奨グレードC1尿蛋白0.5〜1.0g/日のIgAにおける尿蛋白を減少させる可能性があり、治療選択肢として検討してもよい。

副腎皮質ステロイド

推奨グレードB尿蛋白>1.0g/日かつCKDステージG1-2のIgA腎症には進行を抑制するため、短期間高用量経口ステロイド(プレドニゾロン0.8-1.0を2ヶ月その後減らしながら6ヶ月投与)を推奨する。

推奨グレードB尿蛋白>1.0g/日かつCKDステージG1-2のIgA腎症には進行を抑制するため、ステロイドパルス療法(メルチプレドニゾロン1g3日間点滴静注を隔月で3回+プレドニゾロン0.5mg/kg隔日を6ヶ月投与)を推奨する。

推奨グレードC1ステロイド療法は尿蛋白0.5-1.0g/日かつCKDステージG1-2のIgA腎症の尿蛋白を減少させる可能性があり、治療薬選択肢として検討してもよい。

免疫抑制薬

推奨グレードC1シクロホスファミド、アザチオプリン、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、ミゾリピンは、IgA腎症の腎予後を改善させる可能性があり、治療選択肢として検討してもよい。(保険適用外)

扁桃線摘出術+ステロイドパルス療法

推奨グレードC1IgA腎症の尿所見を改善し腎機能障害の進行を抑制する可能性があり、治療選択肢として検討してもよい。

扁桃線摘出術単独

推奨グレードC1IgA腎症の尿所見を改善し腎機能障害の進行を抑制する可能性があり、治療選択肢として検討してもよい。

抗血小板薬

推奨グレードC1ジビリダモールは尿蛋白の減少及び腎機能障害の進行抑制効果を有してる可能性があり、治療選択肢として検討してもよい。

推奨グレードC1塩酸ジラゼブは尿蛋白の減少効果を有してる可能性があり、治療選択肢として検討してもよい。

n-3系脂肪酸

推奨グレードC1腎予後を改善させる可能性があり、治療選択肢として検討してもよい。

各制限事項

必要に応じて

  • 血圧管理
  • 減塩
  • 脂肪管理
  • 血糖管理
  • 体重管理
  • 禁煙

などの各制限を指導する。

食塩摂取制限

推奨グレードBIgA腎症患者には過度の食塩摂取を是正する事を推奨する。高血圧合併あるいは腎機能が低下したIgA腎症患者には6g/日未満食塩制限を推奨する。高血圧を合併せず、腎機能が保たれるIgA腎症患者には過度の食塩摂取を是正する事を推奨する。

推奨グレードC2死亡と末期腎不全のリスクを高める可能性があるため、3g/日未満の食塩制限は推奨しない。
※厚生労働省は成人男性9g/日、女性7.5g/日の食塩摂取を推奨している。

タンパク質摂取制限

推奨グレードC1IgA腎症患者には画一的にタンパク質摂取制限を行うべきではなく、個々の患者の病状や腎障害進行リスクなどを総合的に判断して指導することを推奨する。

肥満解消

推奨グレードAIgA腎症患者には肥満(BMI 25以上)解消に取り組む事を推奨する。

運動制限

推奨グレードC2運動により尿蛋白量が一時的に増加するとの報告があるが、運動終了後に尿蛋白量は安静時のレベルにまで回復する。

過度の運動制限は多くの病気において有害であり、IgA腎症患者において一律に運動制限することは推奨しない。

喫煙

推奨グレードA腎機能低下に関連している。また肺ガン、血管疾患などの重大な危険因子であり、禁煙が推奨される。

 

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